語らずに見せるとは?今回は、ト書きを“どう書くか”のお話です。
前回の記事では、「ト書きってなに?」「どうやって使うの?」という基本を紹介しました。
今回は、いよいよ実践編。「実際にト書きを書くとき、どう表現すればうまく伝わるのか?」について、少し深く掘り下げていきます。
「語らずに見せる」とはどういうことなのか。 Second Lifeのロールプレイで、気持ちや雰囲気をうまく“演じる”にはどうしたらいいのか。
今回は、そんなト書きの魔法のような使い方を一緒に考えていきましょう。
ト書きは、感情は語らずに「見せる」
「彼女は悲しかった」──これは“感情を語る”書き方。 でも、ロールプレイでは、こういう書き方はあまり好まれません。
代わりに、感情を“見せる”ように書くのがト書きのコツです。
語ってしまう例:
(彼女は悲しかった)
見せる書き方:
(彼女は少しだけうつむいて、手のひらをぎゅっと握りしめた)
セリフでは言わないけれど、仕草で感情がにじむように表現する。 これが、ト書きの面白さでもあり、奥深さでもあります。
「語らずに見せる」で頭の中をどう描くか?
小説では「心の中で思ったこと」をそのまま描写できますが、Second Lifeのようなロールプレイでは、相手が“見ている”情報しか使えません。
たとえば:
(彼は心の中で叫んだ)
→ 相手はその心の声を受け取ることができません。
(彼は目を見開き、言葉を飲み込むように唇を閉じた)
→ これなら「なにか言いたかったのかな?」「驚いたのかな?」と、相手が想像する余地が生まれます。
この“余白”こそが、ロールプレイの魅力でもあります。
相手とのやりとりはキャッチボール
RPは、セリフやト書きを使って、お互いにやり取りをする「即興劇」です。
自分のト書きがどれだけ丁寧でも、相手に反応する“隙”がなければ、会話はキャッチボールになりません。
悪い例:
(彼は彼女の手を取り、そのまま強く抱きしめ、耳元で「愛してる」とささやいた)
→ 相手が返せるところがない。展開が一方的すぎる。
よい例:
(彼は彼女の手をそっと取った。少し戸惑うように、目を見つめる)
→ ここで相手が「どう反応するか」を選べる。
“返せる空気”をつくることも、ト書きの大事な役割です。
うまい「語らずに見せる」ト書きの共通点
「語らずに見せる」うまい表現方法の共通点を見てみよう。
- 感情を語らず、行動でにじませている
- 一文が短く、状況を切り取っている
- 相手が返しやすい“余白”がある
- 書かれていない部分からも雰囲気が伝わる
「全部書かないと伝わらない」は、逆に読み手の想像を奪ってしまいます。
“ちょっと足りない”くらいが、ちょうどいい。
次回予告:シーン別・感情ト書きテンプレ集!
次回の記事では、「照れ」「怒り」「不安」「誘惑」など、感情ごとに使いやすいト書きテンプレートを紹介します。
初心者でもそのまま使える例文を通して、さらに表現の幅を広げましょう。
あなたのRPが、もっと自由で楽しくなりますように。